岡山県立大学保健福祉学部現代福祉学科 竹本 与志人 研究室

研究内容(岡山県立大学特別研究費)

岡山県立大学独創的研究助成費 2023(令和5)年度

「在宅医療における高齢者の経済問題に関する予備的研究」

 研究代表者:竹本与志人   研究協力者:杉山 京,合田衣里,桐野匡史

 本研究の目的は,在宅療養支援診療所を対象に高齢患者の経済問題の実態と入院医療を担当する医療機関での経済支援の現状を明らかにすることである。本研究は,「在宅医療の推進を阻害する経済問題の存在」と「入院医療から在宅医療へつなぐ医療機関側の経済支援の在り方」を検討するための予備的研究である。

岡山県立大学地域貢献研究助成費 2019(令和元)年度

「新人医療ソーシャルワーカーの職務継続に関する研究」

 研究代表者:竹本与志人

 近年の医療法改正や診療報酬制度改定により医療機能の分化,在院日数の短縮化,在宅医療の推進等により,医療ソーシャルワーカー(MSW)の退院支援等の成果に対する期待が高まってきている。しかしながら,退院支援等の業務はMSWにとって過酷な業務であり,心身の不調等により離職者は増加している。なかでも3年未満のMSW(以下,新人MSW)においては深刻である。本研究では,岡山県におけるMSWの職場定着に寄与する資料を得ることをねらいに,新人MSWの職務継続(意向)とその関連要因を明らかにすることを目的とする。
 なお,本調査研究は岡山県医療ソーシャルワーカー協会の協力を得て実施する。

岡山県立大学独創的研究助成費 2017(平成29)年度

「医療ソーシャルワーカーを対象としたアセスメント実践に関する研究」

 研究代表者:竹本与志人

 本研究は,医療ソーシャルワーカーの養成・現任研修を意図とした教育活動における課題および援助実践能力の向上を目指した指針を明示することをねらいとし,医療ソーシャルワーカーのアセスメント実践の中でも退院援助における家族評価に焦点を当て,その実践状況を類型化するとともに関連要因を明らかにすることを目的とした。
 近畿,中国および中部地方の8府県にある医療機関に勤務する医療ソーシャルワーカー844人(調査時点)を対象とし,質問紙調査を実施した。その結果,259人(回収率:30.6%)から回答が得られた。

  • 各回答傾向を基に回答者を分類した結果,3クラスタが得られ,クラスタ1は【家族評価中頻度実践型】,クラスタ2は【家族評価低頻度実践型】,クラスタ3は【家族評価高頻度実践型】という特徴を有すると考えられた。
  • 退院援助における家族評価を複眼的視点のもと実践していると考えられるクラスタ3に所属する割合は3割にとどまっていた。
  • 家族評価における実践頻度が最も低いクラスタ2に所属する者は全体の14.2%であり,これらの者に対し何らかの策を講じる必要性が考えられた。
  • クラスタ3がクラスタ1およびクラスタ2に比して,①女性の占める割合,②認定社会福祉士(医療分野)を所持する者の割合,③日本医療社会福祉士会に入会している割合,④『家族のアセスメント』に関する教育や研修を「複数回受講した」または「一度受講した」割合が,それぞれ有意に高いことが明らかになった。
  • 各アセスメント内容における実践頻度の高いクラスタ3は最も低いクラスタ2に比し,①年齢が高く,②医療ソーシャルワーカーとしての通算経験年数が長いことが統計学的な有意差のもと確認された。
  • クラスタ2に関しては,クラスタ1およびクラスタ3より療養病棟を担当する者の占める割合が有意に多いという結果であった。
  • 78項目から成る退院援助における家族評価項目をその実践頻度の高低で分類した結果,3クラスタに分類された。実践頻度が高い項目は,44項目(56.4%)であり,中程度の実践頻度である項目は25項目(32.0%),実践頻度の低い項目は9項目(11.5%)であった。
  • これらの項目を概観すると,家族成員における現状の理解(患者の病状,退院後必要なケアなど)および患者の退院のために活用可能な家族の資源の程度といった項目は実践頻度が高い傾向にあった。その一方で,患者の退院に向けた患者を含む家族成員間の役割調整等に関する項目は実践頻度が低い傾向にあるという特徴が明らかになった。

岡山県立大学地域貢献特別研究費 2015(平成27)年度

「地域コミュニティを対象とした認知症が疑われる高齢者を発見した場合の援助希求に関する研究」

 研究代表者:竹本与志人

 本研究は,地域コミュニティを対象に,認知症が疑われる高齢者を発見した場合の援助希求の実態を明らかにすることを目的とした。本調査は,笠岡市ならびに真庭市,美咲町,美作市の地区(支部)社会福祉協議会,認知症キャラバンメイト,小地域ケア会議に所属する各種委員(以下,地域コミュニティ)2,503名を対象とし,2015(平成27)年4月から同年12月に実施した。回答は,調査期間に調査が実施可能であった地区940名分の調査票のうち919名から得られた。主な結果は次の通りであった。

  • 民生委員に相談すると回答した人は6~7割を占めていた。
  • 地域包括支援センターへ相談をすると回答した人は地域により差が見られた。
  • 相談先の遠近構造には地域特性が影響している可能性が示唆された。
  • 他者への相談意向の高い群は認知症治療薬の効果や診断法に関する知識量が高かった。
  • 現在認知症の人と関わっていることが認知症の人に対する肯定的態度を高めている可能性が推測された。

岡山県立大学地域貢献特別研究費 2014(平成26)年度

「民生委員を対象とした認知症の疑いのある高齢者を発見した際の援助要請意向ならびに受診促進意向に関する研究」

 研究代表者:竹本与志人

 認知症の早期発見・早期診断を可能とする受診・受療連携システムの構築に必要な資料を得ることをねらいに,民生委員を対象に認知症の疑いのある高齢者を発見した際の専門機関(地域包括支援センター)への援助要請意向ならびに受診促進意向とそれらの関連要因を探索することを目的とした。
 岡山県内(岡山市を除く)の民生委員全2,751名を対象にアンケート調査を行った結果,地域包括支援センターへ相談をすると回答した民生委員は約8割に留まっていたこと,地域包括支援センターへの援助要請意向に関するすべての項目に対して援助要請する人は約4割に留まっていたこと,認知症の人に対する肯定的態度が高いほど,地域包括支援センターへ相談する意向が高かったこと,認知症の初期症状に対する地域包括支援センターへ相談する意向には地域差があったこと等が明らかとなった。

岡山県立大学独創的研究助成費 2013(平成25)年度

「地域包括支援センター職員を対象とした認知症者への受診・受療援助に関する研究」

 研究代表者:竹本与志人

 本研究では,認知症が疑われる高齢者への受診援助を円滑に実現するための援助の具体的な方法論の提案および研修の企画に必要な資料を得ることをねらいに,地域包括支援センター職員を対象に認知症が疑われる高齢者への受診援助に関する現状と援助上の課題を明らかにすることを目的とした。
 中国・四国地方,九州地方に設置されている地域包括支援センターのうち500ヶ所に勤務する専門職(3職種;計1,500名)を対象にアンケート調査を実施した。その結果,認知症が疑われる高齢者に対する受診援助の実践状況は,3職種ともに「かかりつけ医との関係の良否の確認」や「認知症の進行遅延薬に関する情報提供」等に関する援助の実践が6~7割程度に留まっていたこと,家族に対する受診援助の実践状況は,3職種とも「受診の際に主介護者以外の家族の同行を促す助言」が他の援助実践よりも頻度が低かったこと,「かかりつけ医との連携」では,熊本県が岡山県,香川県よりも連携の頻度が高く,「認知症専門医のいる医療機関との連携」では,熊本県が岡山県,香川県,長崎県,鹿児島県よりも連携の頻度が高かったこと等が明らかとなった。

PAGE TOP